こちらの記事で、専門学校をフル活用してゲーム業界に行くためにはとにかく目立つべきという話をしました。
その中でも目立つ結果を出す。課題で高評価をとることは特に効果的です。
目次
力の入れどころを考える
今取り組んでいるゲーム制作をどのような目的で行っているのかによって、取り組み方が変わってきます。
課題であれば高評価を取ることや技術を向上させること。コンテストであれば受賞することです。
評価ポイントを意識する
課題には必ず評価ポイントがあって、最初に伝えられることが多いでしょう。
やってしまいがちなのが、評価ポイントを伝えられているにも関わらず関係のないところに力を入れてしまうことです。
例えばプログラム授業で「2次元配列」を習ったので2次元配列を使ったゲームを作るという課題が出た時には、2次元配列をうまく活用しているかどうかが評価ポイントになるでしょう。
この時、多くの人がやりがちなのが企画にこだわってしまうことです。企画の授業ではなくプログラム授業なのですから、企画にこだわる必要なんてありません。
プログラム授業では、企画を考えなくても既存ゲームをそのまま作れば良いんです。2次元配列を使うなら「オセロ」「テトリス」「マインスイーパー」などから自分のスキルで作れそうなものを作ればいいでしょう。
この時、少し頑張らないと難しいな…と感じるくらいが自分の成長にとっても丁度いい難易度です。
お手本があるので動きを再現するだけで良い上に、ネットで検索しても情報が手に入る。完成したら面白いゲームであることも保証されています。
評価ポイントを教えてもらえないケース
これは専門学校の課題ではなく入社時のエンジニア研修課題であったものなのですが「スマホで動くシューティングゲームを作る」ということが決まっていて評価ポイントは特に教えてもらえないというケースがありました。
こういった場合は、評価する側がスマホで動くシューティングゲームを作らせることでどんな実力を把握したいのかを考えます。
スマホで動くシューティングゲームといえば大体以下のようなことを求めていることが考えられます。
- 弾の挙動などを制御する「ゲーム数学力」
- 当たり判定を正確に行えているかどうか
- 大量のオブジェクトが出ていても処理落ちしないか
- 違和感のない操作性を実現できているか
- エフェクトを適切に設定しているか
- 端末の画面解像度によってUIが崩れないか
- 3Dで作れたらGood
この課題で失敗した人は、先程の例と同じように期間がそもそも5日しかないのに1日〜2日かけて企画を一生懸命考えた人たちです。
エンジニアの研修課題なので、求められていたのは企画力ではなく上記のような能力です(ズバ抜けた企画力を発揮していた人はそれはそれで評価されてましたが一握りです)。
エンジニアは40名ほどいましたが、その中で1位をとった僕が作ったのはニンテンドー64の「スターフォックス」をマネしたものです。
企画に使った時間は30分くらいでした。
「よし、スターフォックスを作ろう。スマホの操作性に合わせないといけないから、回避はフリックにして、指1本で全部の操作ができるようにしよう」考えたのはこれくらいです。残りの時間はひたすらスターフォックスの動画を見て動きを研究&実装です。
求められているものを作るというのはクリエイターにとって非常に重要な能力ですから、課題をこなして磨いていきましょう。
素材の自作は避ける(プログラマの場合)
絵が描けるプログラマとして自分を押し出していきたいから、課題でも絵を描く。という人もいるかもしれませんが、絵のスキルを向上させるのは本当にその課題で優先していいことなのかどうかは考えておきたいところです。
最高評価を取れることがほぼ確定しているような状態までプログラムを作れているなら追加で絵を描いたりしてもいいですが、やはりまずは評価を上げることを優先してフリー素材を使うことなども検討しましょう。
公開しないものなら素材はなんでもいい
コンテスト作品など、学外に公開する場合は著作権に配慮しなければいけないので、素材を作ったりフリー素材を探してくることに時間を使うことになるのは仕方のないことです。
しかしながら、学外に公開しない課題であれば自作やフリー素材にこだわる必要はありません。
ここで僕が使っていた海外サイトを1つ紹介します。VGMusicというサイトです。
このサイトでは、ゲーム音楽の耳コピMIDIファイルが山のように投稿されています。
ゲームの英語名を知らないと検索しずらい、制作者によってクオリティにバラつきがあるという問題はありますが、原曲がプロによって作られているわけですから耳コピMIDIでもクオリティの高いものがたくさんあります。
例えば「ロックマン」の英語名は「Mega Man」です
フリーのBGMを探してくる時、イメージに合ったものを探すのに結構時間がかかります。
既に聞いたことがあって知っているゲーム音楽なら、サイトで検索するだけなので手早く見つけることができます(曲名まではわからないことが多いので順番に聞いていく作業は必要なことが多いですが…)。
ここから欲しい曲を手早く取ってこれるかは今までにどれだけゲームをプレイしてきたか、ゲーム音楽を聞いてきたかによりますが、ゲームのテストプレイをする時に好きなゲームの曲が聞けるというだけでもテンションが上がります。
絵の場合はゲーム攻略サイトが良い感じにキャラ画像をアルファ抜きしてくれていることが多いので、そういったものを使ってもいいかもしれません。
ただ、ドラクエとかポケモンとか見る側も見慣れている画像を使ってしまうと手抜き感が出るので、ちょっとマイナーなくらいがちょうどいいかもしれないですね。
絵に関してはフリー素材がそれなりに充実していますから、フリー素材を中心に使っていくのが良いでしょう。
間違ってもコンテスト作品やストア公開する作品に使わないよう気をつけて下さい。一発アウトです
パレートの法則を使う
本当に力を入れるべきポイント以外は、パレートの方法を使い80点を目指しておけば全体としてのクオリティを十分確保できます。
パレートの法則については、こちらの記事で詳しく解説しています。
他の課題との時間配分
僕はゲーム制作課題では最高評価を取り続けていましたが、他科目での課題は評価が低いこともありました。
ゲーム制作課題と他科目の課題で期間が重なってしまった時は、他科目の優先度を下げていたからです。
全力で勝ちに行くべきなのはやはりゲーム制作力なので、そこに力を一番注いでいたわけです。
かといって他科目であまりに低い評価を取るわけにもいきませんから、こちらもパレートの法則で80点を目指すと効率がいいです。
評価としての80点を目指すわけではなく、自分の中で全力を出して取れるのが90点なら70点くらいを目指すイメージです。
もちろん他科目であってもこだわりたい課題ならもっと力を注いでも問題ありませんが、優先度を決めることは重要です。
ちなみにこれはあくまで課題の話で、他科目の授業をちゃんと聞かなくてもいいという話ではないですからそこはお間違いのないように…。むしろ授業をちゃんと聞いて、課題で手を抜いてもそこそこのものが出来上がるようにします。
自分なりの工夫ポイントを入れる
例えば「ブロック崩しを作る」というようにゲーム内容が決まっている課題もあるでしょう。
こういった時は、自分なりの工夫ポイントを入れましょう。でないと他の人と同じものが出来上がってしまい、差別化できません。
課題の要件はすべて満たすこと
前提として、課題に要件があるならすべて満たさないといけません。そちらが優先です。
要件をすべて満たした上で、自分なりの工夫ポイントを入れることで評価は必ず上がります。
それでもオリジナリティは出さなくていい
企画に自信があるならオリジナルのブロック崩しを考えてみてもいいですが、やはりここでもオリジナリティにこだわる必要はないです(評価ポイントとしてオリジナリティが挙げられている場合は除きます)。
要素を増やす
要素の多いブロック崩しといえば「アルカノイド」ですが、短期間でこのゲームに入っている要素をすべて盛り込むことは大変です。
作れそうな要素を1つ選んで取り込むだけでも、大きな差別化要素になります。他の人と被るのが心配だったら表現を変えてみると良いでしょう。
既存の要素を成長させる
例えばブロックを崩した時のエフェクトを豪華にするといったものです。
崩したブロックによって再生されるSEが違うといったものでもいいかもしれません。ただサウンド関係は気づきにくい場合もあるので見た目に反映される要素のほうがおすすめです。
こういったこだわりポイントを1つでも持っておけば、差別化できますし印象にも残ります。
評価者の立場を意識する
よく忘れられがちなのが、評価するのはあなたではないということです。自分にとって最高に面白いゲームを作っても、それが他の人にとっても面白いかどうかは別問題です。
先生が評価する場合
課題は基本的に先生が評価しますよね。先生がプレイすることを考えて作りましょう。
プレイ時間に気をつける
例えば想定プレイ時間が1時間のRPGを作ったとしましょう。ゲーム制作課題としてはなかなかの大作です。
制作に相当な時間がかかったことと思いますが、その努力は無駄に終わる可能性があります。
先生はクラス全員の課題を見なければいけません。1人の課題を1時間も見ていられないわけです。
対策としては、最も見せたいポイント(例えばボス戦)にたどり着くまでを想定プレイ時間として、そこまでに見れる内容をとにかく作り込みます。
ボスまで5分でたどり着けるようにして、それまでに3回くらい戦闘が発生するようなエンカウント率に設定する。といった感じですね。
ボリューム感をもたせるためにボスの後に続きのストーリーを作っても構いませんが、既存要素の使いまわしでなるべく済ませたりというように時間をかけすぎないようにします。
難易度に気をつける
例えばアクションゲームの場合は、人によってクリアできるかどうかに差が出てしまいます。
最初は簡単に進めるようにしておいて、少しずつ難しくなるようにステージを設計します。
難易度別にステージを分けたり、中間ポイントを設定して最初からやり直さなくてもいいように配慮するのも効果的です。
アクションが苦手な先生ということが分かっているなら難易度は低めにしておきます。
こちらも同じくボス戦が最も見せたいポイントなのに何回チャレンジしてもボスにたどり着けないとあっては勿体ないですから、難易度には注意しましょう。
先生のアドバイスは必ず取り入れる
たまに「先生はああ言ってるけど俺のスタイルには合わん」みたいに先生のアドバイスを取り入れようとしない人もいるんですが、これは勿体ないです。
評価する当人である先生のアドバイスを取り入れたら評価が上がるのは確定みたいなものです。時間が足りないならともかく素直に聞き入れましょう。
どうしても不満なら納得してもらえるように議論してもいいですが、早めに素直さを身に着けて色んな人からスキル・ノウハウを吸収できるようになっておくと就職してからも短期間で成長できます。
この記事をここまで読んでくれている方なら素直さは十分だと思います(笑)
クラスメイトが評価する場合
僕の学校ではクラスメイト同士で相互評価をして順位を決めるような課題もあったので、同じようなものがあるかもしれません(ちなみに僕は何度も1位を取っていました)。
基本的にゲーム制作の学校に来ているような人はゲーム好きが多いですから、難易度は市販ゲームよりも高めで大丈夫だったりします。簡単にクリアできてしまうよりも手応えがあったほうが印象に残りやすいというのもあります。
とはいえジャンルによっては苦手なケースもありますから、難易度別にステージが分けてあったりすると親切です。
そしてこの場合、面白いゲームを作れる自信があるなら先生が評価する場合と違って想定プレイ時間は長くしても大丈夫です。
というのも、相互評価においては自分の作品をプレイしてもらう時間が長ければ長いほど有利だからです。その分だけ他の作品がプレイされる時間を削れます。
これがつまらないゲームだったら長時間、苦痛にさらされることになるので途中でプレイをやめるか低い評価を付けられて終わりです。面白いゲームならとにかく長くプレイしてもらった方が印象にも残るし高評価になるでしょう。
まとめ
1位を取っただの自慢が多い記事だったなという感想を抱かれているかもしれませんが、専門学校においては成功例を意識して課題に取り組むのが最も労力をかけずに結果に繋がります。
市販ゲームの場合、過去の成功例と同じようなものを作っても「あのゲームと同じだね」と言われてしまいますが、学校なら逆にそれが先生の間で盛り上がります。「○○(優秀な学生)に似てる!」「○○(有名なゲーム)をよく再現してる!」みたいな感じです。
僕が専門学校に入ってから最初の1年間に意識していたのはとにかくコレで、課題で最高評価を取ったり相互評価で順位1位になっていた先輩の作品を見せてもらっていました。プログラムのアドバイスもたくさん貰いました。
企画を専門とする学科でなければ評価されるのはオリジナリティではなく制作力ですから、同じようなものを作ったからといって評価が落ちる心配はありません。
オリジナリティへのこだわりは、コンテスト作品(日本ゲーム大賞アマチュア部門など)で発揮して頂くのが良いでしょう。課題においてはこだわるべきポイントをしっかりと見定めて、制作して頂ければと思います!