このサイトではゲームクリエイターを目指す人に向けて記事を書いていますが、今回の内容はすべての専門学校・学部に共通する考え方です。
大切なポイントは1つだけです。
目次
就職率100%について
まず最初に、多くの専門学校の謳い文句である「就職率100%」や「就職率99.○%」について説明します。
結論から言うと、この数字は全く参考になりません。
就職率100%ってホント?嘘じゃないの?
これは事実で、嘘ではないです。
文部科学省が「就職率」について公表しています。(これを読む必要はないですよ!)
大切なポイントだけ解説します。
就職希望者の範囲
就職率は、「就職希望者」に対して就職した人数の割合で計算します。
進路の希望が「進学」「自営業」「家事手伝い」「留年」「資格取得」である場合は就職希望者に含まれません。
これはつまり、就職活動をしたけど希望の職種で採用されなかった。
でも諦めきれないので「進学」「留年」「資格取得」等の選択をした。という人は就職率の計算の対象から外れているという事です。
職種は一切関係ない
就職率にカウントされる条件は、正社員もしくは1年以上の契約社員や派遣社員であることです。
仮に就職先がコンビニやスーパーだったとしてもカウントされます。
コンビニやスーパーで働くことが良くないと言っているわけではありません。
大切なのは専門学校の授業内容とまったく関係のない就職先が含まれてしまっているということです。
内定さえあればカウント
職種を選ばなければ仕事はいくらでもあります。
また専門学校は就職率を下げないために、就職活動がうまくいかなかった学生を受け入れてくれる派遣会社と提携している場合があります。
そして内定(企業から採用を許可されること)の通知さえあれば、卒業後にその会社へ行かなかったり、合わなくてすぐに辞めてしまったとしても就職率にはカウントされます。
以上のような理由から、専門学校は就職率100%を実現しています。
就職率は参考にならない。専門学校を比較するなら、希望する業界への就職率である業界就職率を見る。
業界就職率の実態
業界就職率を見る必要があるということは理解して頂けたかと思います!
ところがこの業界就職率も注意点がいくつかあります。
そもそも公表されていない
この数字を公表する義務はないので、数値が低い学校ほど公表していません。
ただ、公表していないだけで学校側は数字を把握していて、聞けば教えてくれます。
次の話は僕の実体験です。
とある専門学校の話
ゲームプログラミング学科のある専門学校に学校見学に行きました。
資料にはゲーム業界への就職率は特に書かれていなかったので、入学相談担当に質問しました。
「この場では分からないので、調べて後日郵送します」とのことでした。
後日、郵送されてきた手紙を見ると、信じられない数字が書かれていました。
前年度のゲーム業界への就職率は5%です。
え、5%…?
20人いたら、そのうちの1人だけがゲーム業界へ就職できたという事です。
ちなみに、僕が入学した専門学校のゲーム業界就職率は50%です。10倍の差です。
この話の恐ろしいところは、この学校はそこそこ規模が大きく、IT関係への就職に強いことで有名な学校だったということです。
見学でも特に悪い印象を抱くことはありませんでした。
この学校・学科は現在も募集が続いています。
聞く時は先生や入学相談担当に
業界就職率を聞く時は、必ず先生や入学相談担当に聞くようにして下さい。
学校によっては、学校見学で学生が案内してくれたり、話す機会もあるかと思いますが、学生に聞くのだけはやめて下さい。
もしその学校の業界就職率が低いなら、その事実を知らないからこそ入学したのでしょう。正しい答えが返ってこない可能性が高いです。
具体的な就職実績も見る
具体的な就職先も見ておきたいところです。ここに自信がある学校はデータとして公開しています。
興味のある会社があれば、その会社への就職実績があるかどうかは大きなポイントの1つですね。
ただし、内定情報に注意して下さい。
有名企業に内定が出るような学生であれば、複数社から内定をもらっている可能性があります。
1人で5、6社に内定しているというのはよくある話です。
「20名の卒業生がいて20社に内定」はイコール業界就職率100%ではないです。
ゲーム業界就職率の目安
ゲームプログラマーの学科であれば40〜50%あれば良い方でしょう。
ただしデザイナーやプランナーの場合はもっと低い数字になります。
業界就職率が高すぎる場合も注意して下さい。就職率100%と同様に、数字の裏に何かがある可能性を考慮しましょう。
2人に1人という数字は低いのか
ゲームプログラマー限定で話をしますが、業界就職率の良い専門学校に入ったとしてもゲーム業界に就職するのはおおむね2人に1人という数字です。
低いと感じる人もいて当然だと思います。しかし、実際にはあまり気にする必要はありません。
やる気のない人たち
専門学校の入試は形だけ存在しますが、余程のことがない限り不合格になることはありません。
「大学は行けなかった」
「でもまだ働きたくない」
「ゲームの専門学校って面白そうだな。とりあえず入っておこう」
2〜3割くらいはこの考え方で入学します。
授業をまともに聞くこともなければ、自分で勉強することもないので当然結果は出ません。
これについて詳しくは、ゲーム系専門学校のメリット・デメリットの記事で解説しています。
他業種のプログラマーになる人も多い
ゲームプログラミングはプログラミングの中でも難易度が高い分野で、会社に入ってからも勉強し続けることが必要です。
残念なことに、労働環境に恵まれていない会社もまだまだ多い状況です。
そういった厳しさを受け入れられない人にとって、他業種を選択することはまっとうな事です。
今でこそゲーム業界にきて良かったと感じていますが、当時はすごく悩みました。
同じように、悩んだ結果として他業種を選択する人は少なくありません。
ゲーム業界に行きたい人
ゲーム業界を目指して努力を怠らなかった人は、おおむねゲーム会社に就職できています。
重ねて書きますが、あくまでプログラマーに限った話です。他の職種はプログラマー以上にセンスが求められる厳しい業界です。
ただし、入学前にゲームを作ったりプログラミングに触れたことがなくて、入学後に相性が悪いことに気づいてしまった人は厳しい結果になる場合もあります。
詳しくはこちらで解説しています。
業界就職率が高いほど厳しい環境
当然のことですが、楽をしてゲーム業界に入る魔法のような方法はありません。
業界就職率が高いということは、それだけ厳しい環境であるということです。
実際、厳しさに耐えられなくて退学してしまう人もいます。
それだけの覚悟を持てないのであれば、専門学校を選択すること自体やめておいた方が賢明です。
まとめ
良い結果(高い業界就職率)は、良い環境(授業内容・設備など)によって生まれます。
逆に言えば結果の良さを見れば環境の良さが分かる。
専門学校を選ぶ際は、必ず業界就職率を見るようにしましょう!