ゲーム会社は主に パブリッシャー と デベロッパー に分かれます。
近年ではソーシャルゲームが増えてきたことにより、新たに 運営専門会社 が登場しています。
PCゲーム、コンシューマ、スマートフォンゲームなど会社ごとに作っているものの違いについては知っている方が多いと思いますが、会社の種類については見落としがちです。
ゲーム会社に入ることを目指している方は、この違いについて知っておきましょう。それぞれどういった特徴があるのか、解説していきます。
パブリッシャーとデベロッパーの違い
パブリッシャー
パブリッシャー(publisher)は、出版社という意味です。
ゲーム業界におけるパブリッシャーは、漫画の出版社と同じ意味合いと考えておけば大丈夫です。
漫画家がどれだけ面白い漫画を描けたとしても、それを自分の力だけで読者に届けることは難しいです。
そこで出版社の持っているコネクションを活用することで、印刷会社に印刷してもらったり、全国の書店に漫画を買い取ってもらって読者に販売してもらいます。
ゲーム業界でも全く同じで、作ったゲームを販売するためのコネクションや資金を持たない会社がパブリッシャーにゲームを売ってもらう構図です。
ゲームの販売をすることをパブリッシングといいます。
ゲームパッケージの生産や流通、テレビCMの制作などはパブリッシャーが管理します。ここをパブリッシャーに任せることで、開発者が開発に集中することができます。
日本で最大手のパブリッシャーは、皆さんご存知の任天堂株式会社です。
デベロッパー
デベロッパー(developer)は、開発会社です。
その名の通り、実際にゲームソフトの開発を行います。
ゲーム開発が始まる流れは色々とあって、デベロッパーが作りたいゲームを作って販売してくれるパブリッシャーを探すケースもありますし、パブリッシャーから依頼を受けてゲームを作る、いわゆる下請けとして開発が始まることもあります。
例えば日本を代表するゲームの1つであるポケモンシリーズは、株式会社ゲームフリークが開発を行い、任天堂が販売しています。
完全に分離しているわけではない
ここでピンときている方も多いと思いますが、パブリッシャーとデベロッパーは完全に分離されているわけではありません。
パブリッシャーの自社開発
任天堂は社内で開発しているゲームタイトルも多数あります。
これと同様に、大手ゲーム会社の多くは社内での開発も行いながら、外部会社が開発したゲームのパブリッシングも行っています。
また、パブリッシャーがデベロッパーを買収することで、自社内にゲーム開発ができる人員を確保することも多いです。
デベロッパーが直接販売
PCゲームではSteam、スマートフォンゲームではAppStoreやGooglePlayなど、公開したゲームが多くの人に届きやすいプラットフォームが増えてきました。
パブリッシャーを経由せずとも、販売自体が可能になったことから直接販売を行うデベロッパーも増えてきています。
漫画の例でも、漫画アプリやTwitter経由の拡散など、必ずしも出版社を経由する必要がなくなってきました。
しかしながら、より多くの人に届けようと思った時には広告やテレビCMが効果的です。広告宣伝には莫大なお金がかかるため、ここを担えるパブリッシャーはまだまだ健在と言えます。
新たに登場した運営専門会社
ソーシャルゲームが主流になってきたことで、近年新たに登場したのが運営専門会社です。
こちらの記事で紹介されているのは ファンプレックス と DeNA Games Tokyo という会社です。
ファンプレックスはグリーを母体とした会社、DeNA Games Tokyoはその名の通りでDeNAを母体とした会社です。
ソーシャルゲームは、開発が終了した後も運営が必要です。良いゲームを開発するにはもちろんノウハウが必要ですが、同じく良い運営をするにもノウハウが必要です。
運営に失敗してしまうと、サービス終了という結果に終わります。
上記2社は、母体でソーシャルゲームの運営経験を積んだメンバーで設立された会社です。
特にファンプレックスは、グリー製のゲームだけでなく他社のゲーム運営も行っています。
なぜ運営専門会社に依頼するのか
パブリッシャーもデベロッパーも、新しいゲームをパブリッシング/開発することに人員をさかなければいけません。
というのも、どれだけ面白いゲームだったとしても同じだけの収益を永久に得続けることは難しいからです。
遊ぶ人は少しずつ減っていくので、収益も運営が続くと共に減っていきます。
新しく収益を上げられるゲームを作らなければ、会社自体の存続ができなくなってしまいます。
そこで、既に公開しているゲーム運営を運営専門会社に依頼することで、社内で運営にまわっていた人員を新規タイトルの開発やパブリッシングに充てる方針をとることが増えてきました。
もちろんいい加減な運営をする会社に任せてしまっては自社の評判も落ちるし、収益も落ちて何も良いことはありません。
運営のスペシャリストである運営専門会社に依頼することが重要というわけです。
運営事業は、今後も需要が増えて伸びていくでしょう。
まとめ
例えば「自分のアイデアをどんどん盛り込んだ新作ゲームを作りたい」と思っているのに下請け専門のデベロッパーに入社してしまうと、どれだけアイデアを出してもパブリッシャーが許可しなければそのアイデアがゲームに盛り込まれることはありません。
「プログラムをたくさん書きたい」と思っているのにパブリッシング専門の会社に入社すると、外注管理をする仕事内容かもしれません。
ゲームの運営をしたいなら、運営専門会社という最適な選択肢が出てきました。
自分がやりたいことを実現できる会社なのかどうかは、作っているものを見ただけでは分かりません。
その会社がメインとする事業内容や、他社とどんな関係性にあるのかというのは非常に大切です。
会社のWebサイトで事業内容や取引先を見るだけでも、ある程度見えてきます。