ゲームエンジンを使うなら Unity or UnrealEngine です。
両方とも便利なゲームエンジンなので、結局どちらを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
ゲームエンジンって何?という方はこちらの記事もどうぞ!
この記事ではUnityとUnrealEngineの特徴について細かく解説していきます。どちらを使うか決める際に参考にして下さい!
目次
UnityとUnrealEngineに共通する特徴
ゲームエンジン自体の特徴に加えて、UnityとUnrealEngineには次のような特徴があります。
- 3Dモデルを配置したり、テストプレイをするための専用のエディタがある
- マルチプラットフォーム(PC・スマートフォン・コンシューマーハードで遊べるゲームを作れる)
- 無料でも使える(条件あり)
このあたりがUnityとUnrealEngineは特に強力で、圧倒的なシェアの理由になっています。
また、最近ではARやVRに強いというのも大きな特徴の1つになっています。
Unity
個人から企業まで、幅広く使われているゲームエンジンです。AppStoreやGooglePlayで公開されているゲームの大半はUnityで作られています。
Unityのバージョンは出た年でナンバリングされていて、2023年9月現在の安定バージョンはUnity2022、最新バージョンはUnity2023です。
初心者がUnityを使う上でのメリット・デメリットを解説していきます。
Unityのメリット
個人なら実質無料
有料版もありますが、1年間で10万ドル(約1000万円)以上の収益がなければ無料で使い続けることができます。
2024年1月1日から料金体系を変更されることが発表されました。個人レベルで影響を受けることはありませんが、詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にされてみて下さい。
1年間で20万ドル(約3000万円)以上の売上かつ1アプリあたり20万ダウンロード以上されることがなければ無料で使うことができますので、個人レベルでは引き続き実質無料となります。
無料版と有料版の違いはほとんどなく、無料版でほぼ全ての機能を使うことができます。
エディタが軽い
10万円前後のノートPCでも快適に使えます。
ゲームの規模が大きくなるとそれだけ重くなりますが、これは他のエンジンを使った場合でも同じです。
とはいえゲームエンジン以外のソフトウェアと比べれば重いので、あまりにも低性能なPCでは使えません。
2Dの機能も充実
以前までUnityの2D機能はイマイチなところがあったのですが、最近は充実していて2Dゲームを作るのに困ることもありません。
C#スクリプト
UnityではC#というプログラミング言語を使用して「スクリプト」というUnity上で動くプラグラムを作成し、これらを組み合わせることでゲームを作ります。
C#はプログラミング初心者でもとっつきやすい部類に入ります。いきなり難易度の高い言語から始めなくても良いのは大きなメリットですね。
AssetStore
全ての素材(アセット)を1人で作っていたらすごく時間がかかってしまいますが、AssetStoreを使うことでUnityで使えるアセットを簡単に手に入れることができます。
中には無料で、ものすごくクオリティの高いアセットもあります。どんなアセットがあるか、ぜひチェックしてみて下さい!
またC#スクリプトもAssetStoreにたくさんあります。これらをうまく組み合わせることで、最小限のプログラミングでゲームを作ることも可能です。
UnrealEngineにもマーケットプレイスというものがありますが、数の多さはUnityが圧倒しています。
日本語情報の多さ
使っている人がとにかく多いので、ネット上に大量の情報があります。
特に重要なのが日本語の情報が多いことです。英語が得意でない限り、これはとても助かります。
初心者がUnityを使っていて困るような内容は、調べればすぐに日本語で答えが見つかるはずです。
Unityのデメリット
運営会社に対しての不安
先述した料金体系の変更が唐突に発表されことで波紋を呼び、2023年9月16日現在、Unityの開発運営をしているUnityTechnologies社への信用問題に発展しています。
まだ不確定な情報が多いためこの記事内での言及は避けておきますが、料金体系を変更することに対して社内で反対していたUnity開発者の一部が退職するなどの流れも出てきているため、今後も機能開発などが進むかどうかの不安が残る状況です。
初心者にとって始めやすく、現時点でとても使いやすいゲームエンジンであることは間違いありませんが、ずっと使い続けられる保証がないことは把握しておくと良いかもしれません。ただしこれは他のゲームエンジンも同じことが言えるので、余裕があればいろんなゲームエンジンを触ってみるのが良いと思います。
プログラミングが必要
Unityを使う上でプログラミングを完全に避けることはほぼ不可能です。ただこれはプログラマーにとってカスタマイズしやすいように作られているということでもあり、実は大きなメリットでもあります。
日本語エディタが使えるようになったのがつい最近
エディタを日本語化できるようになったのは2018年バージョン(Unity2018.1)からです。そのため、ネット上で情報を調べた時に英語版のエディタで書かれていることが多いです。
日本語で使いたいと思うかもしれませんが、実は英語版を使った方が何かトラブルがあった時に調べやすいと言えます。
Unity入門
公式チュートリアルもたくさんあるのですが、英語のものが多いです。
Unityの教科書 Unity2023完全対応版
Unityの入門書はいくつか出ていますが、情報が古いものも多いので注意して下さい。
2023年9月現在、内容が充実していて情報が新しい入門書はこちらです。
最新のUnity2023に対応していて、スマートフォンゲームを作る内容です。ボリュームは多めですが図解も多く読み進めやすいでしょう。
C#スクリプトの書き方についても触れられているので、プログラミング経験がない方にもオススメです。
本で使用されているUnityの最新バージョン2023はまだ安定バージョンではないため、勉強するときは使用しても問題ありませんが実際にリリースするゲームを開発するときはUnityをインストールするとき推奨として表示されるバージョンを使用することをおすすめします(2023年9月現在、推奨バージョンはUnity2022.3です)
Unityについては以上です。
UnrealEngine
主にPCゲームやコンシューマーゲームに使われています。長い間UnrealEngine4.x(UE4)でバージョン付けされてきましたが、最近UnrealEngine5(UE5) が登場しました。
UnrealEngineのメリット
開発中は無料
ゲームを作っている最中はお金がかかりません。
リリースしたあと、3ヶ月ごとの売上で3000ドル(約30万円)を超えた部分の5%を開発元であるEpicGamesに支払います。
最新版であるUE5の発表以降、リリース後の売上が100万ドル(約1億円)を超えるまで5%ロイヤリティの支払いが免除されるようになりました。個人であれば実質無料ですね!
コンシューマーは開発期間が長くなる傾向にあるので、開発中は無料で使えるUnrealEngineの人気が高い理由になっています。
また、学生は完全無料で使えます。
ハイグラフィック
デモなどを見るとびっくりするほどグラフィックが綺麗ですね。Unityでも最近はハイグラフィックに作れるようになってきましたが、UnrealEngineで作るよりもハードルは高いです。
Unityはグラフィック品質が低い状態から開始して、設定の工夫で品質を上げていくイメージです。UnrealEngineは、デフォルトでグラフィック品質が高い状態です。
スマートフォンなどではデフォルト状態だと処理性能が追いつかないので、品質を落としても良いところを見分けるという逆方向のテクニックが必要になってきます。
ブループリント
UnrealEngineの強力な機能の1つです。
ビジュアルスクリプティングといって、プログラムを書くのではなくUnrealEngine側で用意されているノードという処理のかたまりを線で繋いで処理の流れを作ることで、プレイヤーの動きからゲーム全体の動きまで全て作ることができます。
エフェクトやAIを作る機能も、UnrealEngineでは全てビジュアルスクリプティングです。
中上級者はプログラムを書くこともありますが、ビジュアルスクリプティングだけでゲームを作ることが可能です。
プログラムを直接書くことに比べれば、圧倒的にとっつきやすいはずです。
Unityのアセットでもビジュアルスクリプティングを可能にするものがありますが、やはりUnrealEngineは標準で使えるところが強いです。
Unity2021から、Unity公式のビジュアルスクリプティングツールが登場しました。まだ登場したばかりなので主役級ではありませんが、今後はUnityでもビジュアルスクリプティングの流れが加速しそうです。
テンプレート
UnrealEngineにはテンプレートというものがあります。
ゲームの基礎部分をはじめから実装したプロジェクトが用意されていて、そこから必要な部分を足していけばオリジナルゲームができ上がるというものです。
例えば以下のようなものがあります。
- FPS
- TPS
- パズル
- 横スクロールアクション
- カーレース
初めてUnrealEngineを使う場合は、テンプレートからプロジェクトを作るとUnrealEngineにおけるゲームの作り方の参考になるはずです。
日本語エディタ対応
以前から日本語対応されていました。長い時間をかけて翻訳の質も上がっているので、全体的に分かりやすいです。
エンジンコードが公開されている
最初は気にする必要はありませんが、プログラミングに慣れた人がゲームエンジンを長く使っているとエンジン内部でどんな処理をしているのかを調べないといけないことが出てきます。
Unityでも一部は公開されているのですが、隠れている部分も多いです。
UnrealEngineでは全てのソースコードをダウンロードできます!
UnrealEngineのデメリット
エディタが重い
とにかく重いです。高性能なPCを持っている人なら問題ないですが、普通のノートPCなどではまず重くてまともに使えないです。
日本語情報の少なさ
海外の利用者が多いので、日本語情報が少ないです。
また、個人利用者も多いUnityと比べて企業で使われることが多いため、入門者向けの情報があまりありません。
UnrealEngine入門
Unityと同じくチュートリアルは英語のものが多いです。
日本語の入門チュートリアルなどもあるのですが、UnrealEngineならこれ!という本があります。
UnrealEngine5で極めるゲーム開発
長らく評判だった『UnrealEngine4で極めるゲーム開発』のUE5版が2023年8月に発売されました。
サンプルゲームの開発を通してUnrealEngineの使い方を覚えていく内容です。
それだけではなくてゲーム会社がどのようにゲームを効率よく作っているかというところまで解説されていて面白いです。
ちなみに「極める」とタイトルに書いてありますが、内容はあくまで入門的なものです。
UE4版はそうでしたが、UE5版は入門から、本格的な使用まで踏み込んだ内容となっています。章ごとに初心者向けなのか中上級者向けなのか分かれていますので、入門だけしたい方は初心者向けの内容だけピックアップして読んでもいいと思います。
どちらを使うべきか
PC性能が足りない場合はUnrealEngineはまともに動かないのでUnityを使うことになります。
UnrealEngineはグラフィックが綺麗なゲームを作りやすいなどの特徴もありますが、これからゲーム開発を始めるという人はとりあえずゲームを作ってみることを優先して選んで欲しいです。
UnrealEngineではテンプレートから作れるジャンルであれば手軽に始めることができます。また、ブループリントの存在によりプログラミングなしで作れます。
Unityの場合は入門書や入門サイトが充実しているので、まずはそれを見ながら作っていくことで手順を覚えることができ、ゲーム作りを体験できます。
自分に合ったモチベーションの保てる開発環境であることも大切です。