1人が1つの仕事内容しか担当しないというわけではなくて、人数の少ないチーム開発では複数の仕事を兼任することもあります。
それに対して、人数の多いチーム開発では1人が1つの仕事内容を専門とすることが多いです。
実際にゲーム会社の採用情報を見てみると、1つの仕事内容に専用の職種が用意されていることもあります。
メジャーなものから業界人以外はあまり聞き慣れないものまで、たくさん集めてみました。ぜひこの機会にゲーム会社の仕事について、くわしく知って頂ければと思います!
ゲーム会社によって仕事の名前や仕事内容の範囲が変わります。ここに挙げているのはあくまで一例なので、その点はご了承下さい。
企画職の仕事
ディレクター
映画でいうところの監督にあたる存在です。ゲーム開発の現場では制作の指揮をとるリーダーとしての役割があり、ゲームの内容を考える企画力や、開発メンバーに対して適切な指示をするマネジメント力、コミュニケーション能力など、総合力が必要です。
最初からディレクターになることは基本的にありませんが、プランナー、デザイナー、エンジニア等のいずれの方面からゲーム業界に入ってもディレクターになれる可能性はあります。
アシスタントディレクター
人数の多いチーム開発において、ディレクター1人ではチームをまとめることが難しいです。そこでディレクターの仕事を分担するアシスタントディレクターを立てることが増えてきました。
将来的にディレクターになることを目指してアシスタントディレクターとして経験を積むこともできます。
プロデューサー
ディレクターが「ゲーム開発」の指揮を取るのに対して、プロデューサーは「ゲーム開発 〜 プロモーション(宣伝) 〜 ゲーム販売」というプロジェクト全体について責任を持ちます。
主にスケジュール・予算の管理をしたり、売れるゲームを作れるように戦略を立て、プロモーション方法を考えます。
たとえ面白いゲームが完成したとしても、売れなければプロジェクトとしては失敗です。面白いゲームを作りたいディレクターと、売れるゲームを作りたいプロデューサーが対立するというのはよく聞く話です…。
人数の少ないチーム開発ではディレクターとプロデューサーを兼任することもあり、会社によってはプロジェクトマネージャ(PM)という名前が付いていることもあります(クリエイティブな業界以外では、プロジェクトマネージャと呼ばれるパターンが多いです)。
アシスタントプロデューサー
ディレクターと同じくプロデューサーも1人では担当しきれないことがあり、アシスタントプロデューサーを立てることもあるようです。アシスタントプロデューサーの募集をしている会社を何社か見かけました。
プランナー
企画職としてゲーム会社に就職する場合、プランナーという名前が付いていることが多いです。
プランナーというと「企画者」の意味ですが、プランナーの仕事内容はゲーム企画だけに留まりません。多くの場合、次に説明するゲームデザイナーやレベルデザイナーの仕事も兼任します。
また、ディレクターのサポートをすることもあります。
ゲーム開発の進め方は会社やチームによって異なりますが、ゲームの要素ごとに担当者を分けることがあります。
例えばバトルシステムを制作するバトル担当プランナーが、同じくバトル担当のデザイナーやエンジニアのスケジュールも管理して、スムーズに制作を進められるように助けるといったことまで担当することがあります。
ゲームデザイナー
ここで言うデザイナーが担当するゲームデザインとは「グラフィック」や「アート」に近い意味で使われるデザインではありません。
デザインには設計という意味があります。企画内容をふまえてゲーム内容やゲーム仕様を設計し、遊べる形にまとめていくのがゲームデザイナーの仕事です。
レベルデザイナー
ゲームデザイナーよりも制作作業に特化したのがレベルデザイナーです。
ステージの構成を考えたり、実際に手を動かしてステージ制作を行う。例えばステージの中に敵を配置したり、アイテムを配置していきます。
レベルデザインというと「レベル」のイメージからRPGのパラメータ調整などをイメージされる方も多いかもしれませんね。そこまで含むことも場合によってはありますが、特に海外ではレベル(Level)と呼ぶ場合はここで説明したステージなどのことを指しています。
スクリプター
ゲーム開発では、ゲーム全体を動かすコアなプログラムとは別でキャラクターの動きを作るスクリプトという簡単なプログラムを使えるようにしていることが多いです。このスクリプトを書く担当がスクリプターです。
プログラムを書くのでエンジニアに近い内容ではありますが、専門家であるエンジニア以外でも使えるように作られているため、プランナーやレベルデザイナーがスクリプトを書くこともあります。
また、近年はスクリプトをグラフなどの目で見て分かりやすい形で作成できるビジュアルスクリプティングが使われるようになりました。プログラムの知識がほとんど要らないため、企画職がキャラクターの動きやゲーム内の演出を担当することが増えてきています。
シナリオライター
その名の通り、ゲームのシナリオを担当する仕事です。映画やテレビ業界では脚本家と呼ばれます。
人数の少ないチーム開発ではプランナーが兼任することも多いですが、魅力的なストーリーを作るというのは他の企画職とは求められるスキルが違うので、基本的にはシナリオライターが専門で担当します。
グラフィック職の仕事
アートディレクター
グラフィック職全体のリーダーです。
ディレクターやプランナーから言葉や文章で伝えられたイメージを、実際に手を動かすグラフィック担当者でも分かるように指示するスキルが必要です。
例えば後ほど説明する2Dアーティストが描いたイラストを見て、目指しているアートの方向性に正しく沿っているかどうかといったこともチェックします。
コンセプトアーティスト
グラフィック担当者がそれぞれの世界観をアートに込めてしまうとゲーム全体としてまとまりがなくなってしまうため、アートの方向性を決めるためにコンセプトアートというものを作ります。
最終的なゲームの完成イメージを示せる必要があるので、高いアートのスキルが必要です。そのため、熟練のデザイナーが担当します。
2Dアーティスト
ゲームに登場する2Dグラフィックを担当します。イラストを書くことが多いので、いわゆるイラストレーターもこちらに含まれます。
キャラクターや背景など、得意分野に応じて担当が分かれることもあります。
3Dアーティスト(モデラー)
3Dモデリングツールを使って3Dモデルを作成する仕事です。3Dモデルを作る前、イメージを固めるために簡単なイラストを描くこともあります。
こちらも2Dと同じくキャラクターや背景で担当が分かれることもあります。
キャラクターは次に説明するモーションデザイナーが動きを付けるので、動くことを想定して制作するスキルが必要です。そのためキャラクターを担当する3Dアーティストとモーションデザイナーは兼任することもあります。
モーションデザイナー
キャラクターなどの動きを作成します。皆さんもよく知っているとおり、ゲームにおける動きの自然さや魅力的なキャラクターのアクションはゲームの面白さに直結する大切な要素の1つです。
キャラクターモーションにおいては、直感的にモーションを作るために3Dモデルに骨格などのデータ(リグといいます)を設定するリギングという作業も行います。
モーションアクター
モーションキャプチャ の撮影対象を担当します。モーションキャプチャというのは、専用のスーツを身につけて撮影することでゲーム上に動きを取り込み、キャラクターモーションとして利用できる技術です。
開発チーム内の誰かが身体を動かすこともあれば、映画のスタントマン、俳優を起用した例もあります。また、ダンス演出用であればダンサーを起用することもあります。
UIデザイナー
UI(ユーザインタフェース)とはゲーム画面上で文字や画像を表示してユーザ(プレイヤー)に情報を伝えたり、メニュー画面やボタンでユーザからの入力を受け付ける部分を指します。
UIデザイナーは、このUIをデザインすることを専門で担当します。
特にスマートフォンゲームでは画面に表示されたボタンなどを直接タップして操作するため、UIがゲームの操作性や面白さに直結します。
スマホが普及したことで、ゲーム業界を含めたIT業界全体で需要が高まっている職種の1つです。
エフェクトデザイナー
VFXアーティストと呼ばれることもあります。ゲームに登場するエフェクトを専門で担当します。
演出に豪華なエフェクトを盛り込むことでプレイヤーの達成感に繋がり、アクションゲームでは攻撃エフェクトが爽快感となってゲームの面白さに大きな影響を与えるなど、エフェクトは重要です。
ゲームエンジン を使ったゲーム開発ではエンジンのエフェクト作成機能を使います。
Unity では「Shuriken」や「VFXGraph」
UnrealEngine では「Niagara」というシステムが使われています。
ライティングアーティスト
僕もこの記事を書くために調査していて初めて名前が付いていることを知りました。演劇やテレビ、映画で照明を担当する照明さん(照明スタッフ)のゲーム版というイメージでしょうか。
ゲームハードやPCの性能が上がったことで、近年はリアルな表現、豪華なグラフィック表現が増えてきました。その1つとして、ライティング(照明効果)があります。
ライティングアーティストは、ステージや演出の内容に合わせたライト(光源)の配置、パラメータの調整、画面効果などを専門とする仕事です。
テクニカルアーティスト
ここ数年で需要が高まっている職種の1つです。
テクニカルアーティスト(TA)にはアートとしての仕事とツール開発の仕事があり、ツール開発を行うTAについてはエンジニアリング職の項目で説明します。これらを兼任しているTAもいます。
アートを担当するTAの仕事は、通常の2Dアーティストや3Dアーティストでは表現が難しいものを技術的な知識を使って表現する、もしくは手助けをすることです。
具体的にはシェーダというプログラムを作成することでグラフィックス表現の幅を広げることができます。以前はエンジニアが担当することの多い仕事でしたが近年ではシェーダプログラムを書かなくても先ほど説明した「ビジュアルスクリプティング」でシェーダを作成できるため、作れる人が増えました。
僕のYoutubeチャンネルでもゲームエンジンの「Unity」を利用したシェーダプログラム入門講座を配信しています。興味のある方はぜひ!(Unity入門書レベルの知識と、多少のプログラム知識が必要です)
フォトグラメトリーアーティスト
フォトグラメトリ というのは現実の物をいろんな角度からカメラで撮影することで3Dモデルデータ化することができる、今まさに使われ始めつつある技術です。
フォトグラメトリアーティストというのは僕が考えた言葉ですが、フォトグラメトリを担当するには現実の照明やカメラの知識が必要で、通常の3Dアーティストの仕事とは違ったスキルが必要なことから今回は入れてみました。
最近の例では、FFXVの料理CGに使われました。ゲーム開発の仕事なのに料理を作って撮影しているというのは面白いですね(笑)
スマホでフォトグラメトリができるアプリなども登場しているので、興味のある方はぜひ試してみて下さい。
映像クリエイター
ゲームではプログラムの処理で作る映像「リアルタイムレンダリング」がよく使われますが、オープニングムービーなどを事前に映像化した「プリレンダリング」が使われることも多いです。
この映像作成を担当する映像クリエイターですが、基本的にはゲーム会社内にいることはめずらしく、映像作成を専門としている会社に依頼することが多いです。
大きなゲーム会社であれば、内部に映像クリエイターがいることもあります。
カットシーンデザイナー
カットシーンというのはプレイヤーの操作ができなくて演出を眺めるタイプのイベントシーンのことです。
「映像」と異なるのは、事前に作成した演出データを使ってリアルタイムに生成する点です。カットシーンデザイナーは、この演出データの作成を担当します。
3Dアーティストやモーションデザイナーの経験者が担当することが多いです。カットシーンにおけるキャラクターモーションや表情の動きなどを作成したり、カットシーン全体の流れを作ります。
Webデザイナー
ゲームの公式Webサイトなどをデザインします。
これについてはゲーム開発会社(デベロッパー)ではなく販売会社(パブリッシャー)が作成することが多いです。
パブリッシャーとデベロッパーの違いについてはこちらの記事で解説しています。
デザインだけでなく実際にWebサイトを作成するところまで担当するWebデザイナーもいます。
DTPデザイナー
DTP(デスクトップパブリッシング)とは日本語で「机上出版」という意味ですが、パソコンで出版物を作ることです。
DTP業界は広いですが、ゲーム開発に大きく関わるのはパッケージ作成です。
また、グッズ制作を行うこともあります。
Webデザイナーと同じくDTPデザイナーがいるのは基本的にパブリッシャーで、専門の会社へ依頼することも多いです。
エンジニアリング職の仕事
リードエンジニア
エンジニアリング職のリーダーです。「テックリード」など、呼ばれ方はさまざまです。次に説明するテクニカルディレクターを兼任することもよくあります。
リードエンジニアは幅広いエンジニアリングの知識を活かして他のエンジニアメンバーに指示を出したり、スケジュールの管理をします。
マネジメントに特化した人、技術に特化した人などタイプはさまざまですが、チームメンバーの相談相手になったりコードレビュー(コードを見て、改善できるポイントを伝える)ができるだけの高い技術力が必要です。
テクニカルディレクター
技術面についてさまざまな決定を行うのがテクニカルディレクターです。
同じ内容のゲームを作るのにも、色々な実現方法があります。どんな技術を使うのか、開発中に発生した問題点を解決できる技術の提案などを行います。
できるだけ簡単に作れる方法・技術をテクニカルディレクターが知っていればゲームを早く作ることができてみんなハッピーです。より良い提案ができるように幅広い技術の知識や、最新の技術についても知っておく必要があります。
多くのチームメンバーと相談することになるため、コミュニケーション能力も求められます。
クライアントエンジニア
いわゆるゲームプログラマです。ソーシャルゲームなどの「サーバ」を用いたゲームが増えているため、後ほど説明するサーバエンジニアと分ける意味でクライアントエンジニアやフロントエンジニアと呼ばれています。
コンシューマハード やPC、スマートフォン上で動作するゲームプログラムを作ります。これらゲームが動作する端末のことをクライアントと呼ぶのが由来です。
この記事を書いている僕もクライアントエンジニアですが、ゲームの操作や画面表示に関わる部分を担当するので、一番「ゲームを作っている」と感じることができる仕事かもしれません。
更に「グラフィックスプログラマ」「AIエンジニア」「サウンドエンジニア」と専門分野に応じて担当を分けることもあります。
近年は「Unity」や「UnrealEngine」などの ゲームエンジン を使う開発が多いので、ゲームエンジンの知識、開発の経験を求められるゲーム会社が増えてきました。
XRエンジニア
VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、これらを合わせたMR(複合現実)を総称してXRと呼びます。
近年はVRやARを使ったゲームも増えてきました。これらは専門の知識が必要であるため、クライアントエンジニアの一種ではありますがXRエンジニアは専門の職種となっていることが多いです。
エンジンプログラマ
Unity を開発している UnitySoftware Inc. や UnrealEngine を開発している EpicGames Inc. などの会社でゲームエンジン開発を担当しているプログラマ、もしくは大手のゲーム会社が社内で独自に作っているゲームエンジンの開発を担当しているプログラマを指します。
ゲーム自体を開発するわけではありませんが、求められる機能を作るためにゲーム開発の深い知識が必要で、高い技術力も要求されます。
UnityやUnrealEngineを使うゲーム会社でもこれらを拡張するための「プラグイン」というプログラムや、どのゲームでも使える共通の機能を作るライブラリチームが存在することもあり、担当するエンジニアは高い技術力が求められます。
ハードウェアエンジニア
コンシューマハード やその周辺機器、ゲームセンターのアーケードゲーム機などを開発するエンジニアです。
ハードウェアエンジニアに対してゲームなどのソフトウェアを開発するエンジニアをソフトウェアエンジニアと呼ぶこともあります。
特にハードウェアを制御するためのプログラム(C言語というプログラミング言語が主流です)を作成するエンジニアを「組み込みエンジニア」と呼びます。ハードそのものを作る電子工作の知識もあわせて持っていることが多いです。
ツールTA
先述したアート面を担当するテクニカルアーティスト(TA)に対して、ツールの開発を担当するTAです。
2Dデザインができる「Photoshop」や3Dモデルの作成ができる「Maya」といったソフトにも機能を拡張できる「プラグイン」というプログラムを導入できるようになっています。
ツールTAは、デザイナーがこれらのソフトを効率よく使って、人の手でやらなくてもいいような作業を自動化できるプログラムを作ります。
そのためプログラム知識と、デザイナーの要望を聞くためグラフィックスの知識が必要です。
サーバエンジニア
ゲームのプログラム処理をクライアントとサーバどちらに、どれくらいの比率で持つのかはゲームによって変わりますが、ソーシャルゲームにおいては処理のほとんどをサーバが持っていて、クライアントはサーバから受け取ったデータを画面に表示しているだけということも多いです。
クライアントは「チート」によってデータを簡単に改ざんできてしまうため、データをサーバに保存することによってチート対策を行うこともあります。
ゲームの人気が出てサーバにアクセスが集中すると処理が追いつかず、サーバダウン(接続できなくなること)が起きてしまうことがあります。少しでも処理にかかる時間が増えないようにプログラム設計を工夫するなどの知識が求められます。
Webエンジニア
Webデザイナーが作成したゲーム公式サイトのデザインを使って、実際にWebサイトの作成を行ったり画面に動きを付けるためのプログラム作成などを行います。
また「ブラウザゲーム」はゲームを作るのにWebの技術が使われます。
ソーシャルゲームではゲーム内の「お知らせ」や「ヘルプ」など、一部だけWebの技術を使うことも多いです。
機械学習エンジニア
機械学習というのはAIの技術です。
機械学習の中でもディープラーニングという技術が広く使われるようになったことで、AIに人間と同じような思考を正確かつ高速にさせることができるようになりました。
ディープラーニングを使った翻訳サービスで、DeepL翻訳というものがあります。とても便利です。
しかしながら、ゲーム業界で導入されている例はまだそこまで多くありません。
導入例としては、機械学習の中でも強化学習という技術を使って敵キャラクターのAIを賢くしたり、ゲームのテストプレイをAIにさせるものがあります。
他のプログラム分野とは違った数学や統計の知識が求められるため、専門の職種となっていることが多いです。
ビルドエンジニア
CI/CDエンジニアと呼ばれることもあります。
作成したプログラムの動作は、ビルドという工程を通してアプリ化することでゲーム機やスマートフォン上で確認できるようになります。
少量のプログラムであれば長くても5分ほどで終わるので特に気にする必要はないのですが、量が多くなってくると30分、1時間、場合によっては3時間などかかります。
ビルドにはPCのリソース(メモリ・CPU)をたくさん使うため、開発者が自分のPCでビルドをしてしまうと完了するまで他の作業がまともに進められなくなってしまいます。
そのため、ビルド用のPCを用意しておきます。この時、ビルド用のPCが置いてあるところまで歩いて画面を操作して…なんてことをしていたら大変なので、自動化をします。この自動化をするための設定やプログラム作成をする仕事がビルドエンジニアです。
ただビルドをするだけではなく、完了したら社内のチャットアプリやメールで通知してくれたり、アプリをダウンロードできる場所にアップロードするといったことまで自動化します。
Jenkinsというツールがよく使われています。
インフラエンジニア
サーバエンジニアはサーバ上で動作するプログラムを作成しますが、インフラエンジニアはサーバそのものを用意する仕事です。
以前はサーバ用に使うコンピュータを買ってきて(もしくは組み立てて)、OS をインストールして設定して…ということをしなければいけませんでしたが、現在はクラウドサービスを利用できます。
社内にサーバを置いておく必要はなく「Amazon」「Google」「Microsoft」などの会社に料金を払うことでサーバを提供してくれるので、リモートで設定を行います。それぞれ「AWS」「GCP」「Azure」というサービスを提供しています。
ゲームでどれくらいのユーザがアクセスするかを考えながら、サーバ台数やスペック(メモリなどの処理性能)を決めていきます。
クラウドサービスでは、サーバのスペックを選ぶことができます。もちろん高いスペックを選べば料金は高くなります。このようにして決める構成のことをインフラ構成と呼びます。
大規模なゲームでは大量のアクセスに耐えられるインフラ構成を設計する必要があり、高度な専門知識が必要になってきます。セキュリティの知識も必要です。
また、ゲーム用のサーバだけでなく社内ツールのためのサーバを用意するのもインフラエンジニアの仕事です。
データサイエンティスト
サーバを使うゲームではユーザのプレイ情報がサーバに蓄積され、開発者が分析できるようになってきています。この分析を行うのがデータサイエンティストです。
例えばステージごとのプレイ時間を調べることで「すぐにゲームオーバーしている、難しすぎる」といった情報を得ることができます。この結果を担当者に伝え、今後のステージ設計の参考にします。
分析ツールを作るためのプログラム知識は必要ですが、それよりも統計の知識が求められる仕事です。
サウンド職の仕事
サウンドディレクター
サウンド職のリーダーです。
豊富なサウンド知識をもとに指示を出したり、実際にゲームへの組み込みを担当するクライアントエンジニアとの調整などを行います。
効果音の作成や作曲を担当する人の相談に応じたり改善点を伝えられる知識が必要なので、効果音や作曲の知識・経験も必要です。
サウンドデザイナー
次に説明するコンポーザーを兼任することもありますが、サウンドデザイナーは効果音(SE)作成を担当します。
指示を受けて効果音を作ることもあれば、ゲームの仕様を見て「このアクションをする時は効果音が必要だな」プログラムの作成が終わって動きの付いたアプリを見て「ここにも効果音があった方が良いな」と自分から改善点を見つけて提案していくことも必要です。
コンポーザー
作曲を担当します。作曲用のソフトウェア(「DAWソフト」といいます)上のみで作ることもあれば、必要に応じて楽器を演奏してレコーディングすることもあります。
ゲーム音楽ではフィールドごとに合ったテイストにする、演出の時間に合わせた曲の長さが必要など、他の分野とはまた違ったスキルが求められます。
声優
ボイスを担当します。これは皆さんも知っていると思いますがゲーム会社の中に声優がいることはほとんどなく、依頼をします。
ちなみに依頼する声優を決めて実際に関わることがあるのはディレクターやサウンドディレクター、シナリオライターのリーダー(シナリオディレクター)であることが多いので、好きな声優さんに自分の作ったゲームのキャラクターを担当してほしい!という方はこのあたりの職種を目指してみると良いのではないでしょうか(笑)
ゲーム声優の仕事がしたいという方にとっては、ゲーム会社のディレクター、シナリオライターとコネクションを持っておくと、仕事をもらいやすいとも言えます。
テスト職の仕事
デバッガー(QA)
ゲームにおけるデバッグ(バグを見つける、修正する)は非常に重要です。
ゲーム開発の作業を担当しているレベルデザイナーやエンジニアは、普通にプレイしてバグが起きないかどうかくらいならチェックできますが、想定していないような操作やボタンを連打したらどうなるかといったことまでチェックしていたら開発が進められません。
そこで、いろんな条件でテストプレイを行う担当がデバッガーです。
依頼を受けて、ひたすら壁に体当たりしてすり抜けが発生しないかどうか調べてみたり、全てのスキルを試し打ちするといったことを時間をかけて行います。
僕がデバッグの依頼をした際はデバッガーさんの提案でテスト内容をいくつか追加してもらい、そこでバグが起きたこともあってバグを見つける能力に驚かされます。
デバッグの仕事は未経験OKのアルバイトでも募集されているので、他の職種を目指している場合でも早いうちからゲーム業界に関われる方法の1つでもあります。
漫画/アニメの例になってしまいますがNEW GAME!!のねねっちがデバッガーで入社してプログラマーになったのはなかなかリアルです(ゲーム業界に興味がある人はぜひ見てみて下さい)。
デバッガーは品質保証という意味を持つQA(Quality Assurance)という呼ばれ方をすることもあります。
βテスター
お金をもらうことは基本的にないので仕事というイメージとは違うかもしれませんが、オープンβテストに参加するβテスターもゲーム開発に関わる仕事と言えます。
ゲーム開発は「プロトタイプ」「α版」「β版」「マスター版」の4つの工程で作成します(もっと分けるケースや、分けないケースもあります)。こちらの記事で詳しく説明しています。
このうち、β版というのはゲームは完成して動く状態で、残るはバグ修正や調整だけ。という状態です。
社内のみで行うクローズドβテストと、社外の人にもプレイしてもらうオープンβテストがあり、オープンβテストはオンラインゲームでよく使われています。
お金をもらってゲームのテストプレイをしたい場合は、デバッガーやテスターのアルバイトに応募しましょう。ただし、普通にゲームを遊んでいても大丈夫なβテスターと違い、デバッガーは先ほどの例のようにひらすら壁に体当たりし続けるような作業も多いですから、誰でも楽しめるものではないことに注意して下さい。
その他の仕事
タスクマネージャー
人数の多いチーム開発では、誰が何を担当しているのか把握するのも大変ですから、スケジュールを調整するのも難しいです。
そこで、チームメンバーのタスク管理、スケジュール調整をする専用の人を立てることがあります。これをタスクマネージャーと呼びます。
特に効果を発揮するのが他の会社も関わるゲーム開発です。
社内メンバーだけで開発しているならコミュニケーションを取ってなんとか開発を進めることができますが、社外との調整なども入ってくるとまとめて管理する人が必要になってきます
ローカライザー
「ローカライズ」を行います。ローカライズとは、同じゲームを海外でも発売できるようにゲーム内の日本語を発売する国の言語に翻訳するといった作業のことです。
海外で発売するには翻訳だけすれば良いというわけではありません。日本では問題のない表現でも、海外では一般的ではなくて伝わりにくかったり、受け入れられなかったりすることがあります。そこまで考えて修正できると良いローカライズになります。
これは販売したい国でゲーム開発をしている企業がその国のゲーム事情に詳しいので、現地の企業と協力したり依頼することも多いです。
カスタマーサポート
ゲームでバグやトラブルが発生した時などはユーザからお問い合わせが来るので、それらに対応します。
それだけでなくユーザから改善点の提案や要望をもらうこともあるので、それを開発チームに伝えます。
僕も会社の研修でカスタマーサポートを経験したことがあります。中には厳しい言葉もあり辛くなることもありますが「◯◯のイベント楽しかったです!」というような言葉を貰えることもあり、開発者のモチベーションにも繋がります。
法務・知財
自社のIP(知的財産。ゲームやキャラクターのこと)を悪用されるのを防ぎます。例えばキャラクターをプリントしたTシャツを勝手に販売されたりなどした場合に法的な手続きをして、販売をやめさせるといったことをします。
また、ゲームでは特許に関わる仕事も多いです。特許とは発明のことで、ゲーム内の特定の要素が過去にない画期的なものであれば、出願することで20年間の特許権が認められます。
例えばナムコ(現バンダイナムコエンターテイメント)は1994年に「ロード画面中にミニゲームがプレイできる特許」を取得し、2014年にこの特許は消滅しました。
特許権が有効な間は、許可を得る、利用料を払うなどしなければ同じ機能をゲーム内に作成することはできません。
この特許権の申請は専門用語がたくさん出てくる難しいものなので、法務・知財担当が開発者と協力して行います。また、開発中のタイトルが他社の特許を侵害していないかといったチェックを行います。
プロモーション・広報
ゲームをより多くの人に広められるよう、宣伝活動を行います。
テレビCMやWeb広告などを企画したり、ゲーム雑誌に載せてもらったりといったことから、最近ではTwitterなどのSNS、Youtubeチャンネルなど幅が広がっています。
人事・採用
ゲームを開発するわけではありませんが、クリエイターを会社に連れてくる採用担当、どのチームに配属するかを決める人事もゲーム開発に大きく関わっていると言えます。
どれだけ腕のあるクリエイターでも、合わないチームにいては能力を発揮できません。クリエイターが思う存分、能力を発揮できるかどうかは、人事次第です。
これまで見てきたようにゲーム開発は専門的な仕事がたくさんあります。そこでエンジニアの採用であれば社内のエンジニアが面接を担当するなど、クリエイターと協力して行うケースが多いでしょう。
僕もインターンシップのメンターや採用試験の問題を作ったりなど、少しですが採用に関わったこともあります。このようにクリエイターとして入社しても関わることのある仕事です。
まとめ
興味のある仕事は見つかったでしょうか?
仕事によってはたくさんの経験を必要とするものもありますから、将来どの仕事をしたいかによって最初に目指す仕事・職種を考えてみると良いのではないでしょうか。
今回は仕事内容ごとの細かい説明まではしませんでしたが、興味のある仕事があったらぜひ詳しく調べてみてもらえればと思います!
このサイトでは、ゲームクリエイターになりたい人にむけて色々な情報を発信しています。よければ以下もあわせて読んでみてくださいね。